企業年金テキスト

企業年金について見ていきます。

この分野は、本試験で出題される可能性が高いので、じっくりとこのテキストをマスターしてください。

このページに掲載している2級追加論点とは、2級を目指す方だけが学習してください。ですので、3級を目指す方は、学習する必要はありません。

~注意~

無料版のテキストは、一部の論点及び解説を省略しています。

ですので、教材購入者の皆さんは、必ず、教材購入者専用ページ内にありますテキスト完成版をご利用ください。

種類

企業年金は、大きく分けると確定給付型と確定拠出型の2種類があります。

確定給付型とは、あらかじめ給付額が定められている年金制度のことで、確定拠出型とは、拠出した掛金額とその運用収益との合計額に基づいて給付額を決定する年金制度のことです。

確定給付型年金

確定給付型には、厚生年金基金や確定給付企業年金があります。

厚生年金基金

厚生年金基金制度とは、厚生年金の給付の一部を代行して行うことに加え、独自の上乗せ給付を行うことができる制度のことです。

平成26年4月1日以降、厚生年金基金を新設することはできません

1.掛金

厚生年金基金の掛金は、厚生年金保険の保険料と同じで、原則、労使折半となります。基金の上乗せ分の掛金は、全額事業主が負担することになります。

2.税金

  • 従業員が負担することとなる掛金については、社会保険料控除の対象となります。
  • 事業主が負担する掛金については、損金に算入されます。損金とは、会計上の費用みたいなものです。
  • 一時金で支払われるものは、退職所得に該当することになり、退職所得控除の対象となります。
  • 年金で支払われるものは、雑所得に該当することになり、公的年金等控除の対象となります。

3.その他

厚生年金基金の老齢給付金は、基本的に終身年金となります。ただし、厚生年金の代行部分以外の給付は、基金ごとの規約により一時金で受け取ることもできます。

確定給付企業年金

確定給付企業年金には、規約型と基金型の2種類があります。

  • 規約型とは、掛金を外部に拠出することで、その年金資産の管理運用をし、年金給付を行っていくものです。
  • 基金型とは、別法人として設立された企業年金基金が、その年金資産の管理運用をし、年金給付を行っていくものです。

1.掛金

掛金は、原則、事業主が負担することになります。ただし、従業員の同意の上、2分の1を上回らない範囲で従業員に負担させることもできます。

2.税金

  • 従業員が負担することになる掛金については、生命保険料控除の対象となります。
  • 事業主が負担することになる掛金については、損金に算入されます。
  • 一時金で支払われるものは、退職所得に該当することになり、退職所得控除の対象となります。
  • 年金で支払われるものは、雑所得に該当することになり、公的年金等控除の対象となります。

3.その他←2級追加論点

  • 確定給付企業年金の老齢給付金は、60歳以上65歳以下の規約で定める年齢に達したとき、または50歳以上60歳未満の規約で定める年齢に達した日以後に退職したときに支給が開始されます。
  • 確定給付企業年金による年金給付は、終身または5年以上にわたり、毎年1回以上定期的に支給するものでなければなりません。

中小企業退職金共済制度(中退共)

中小企業退職金共済制度(=中退共制度)とは、中小企業のための国の退職金制度のことです。

中小企業退職金共済では、雇用する従業員を被共済者として事業主が勤労者退職金共済機構と退職金共済契約を締結します。

1.加入対象者

中小企業の従業員が加入対象者となります。なお、役員、個人事業主は、原則、加入することができません

※事業主と生計を一にする同居の親族は、使用従属関係等が認められることにより、従業員として加入することができます。

2.掛金

掛金は全額事業主が負担することになります。

 

3.中小企業者でなくなった場合

中退共制度の加入企業が中小企業者でなくなった場合には、中退共の解約手当金相当額を、所定の要件のもとに、確定給付企業年金制度や確定拠出年金制度(企業型年金)に移換することができます。

4.税金

  • 事業主が負担する掛金については、損金に算入されます。
  • 一時金で支払われるものは、退職所得に該当することになり、退職所得控除の対象となります。
  • 年金で支払われるものは、雑所得に該当することになり、公的年金等控除の対象となります。

5.退職金の支払い←2級追加論点

退職金の受取方法には、一括して受け取る方法の他、以下の要件すべてに該当すれば、全額分割払い(5年間または10年間)等も認められています。

  • 退職日に60歳以上であること。
  • 5年間の分割の場合→退職金の額が80万円以上であること。
    10年間の分割の場合→退職金の額が150万円以上であること。

確定拠出年金

確定拠出年金には、個人型と企業型があり、加入者自らが自己責任で掛金の運用指図を行い、その運用結果に応じて将来の受取額が変動することになります。

確定拠出年金制度の給付には、老齢給付金、障害給付金、死亡一時金がありますが、所定の要件を満たした場合には、脱退一時金が支給されます。

【補足:ここも覚える】←2級追加論点

改正により、小規模事業主掛金納付制度が創設されました。

「小規模事業主掛金納付制度」とは、企業型年金および確定給付企業年金を実施していない従業員数100人以下の中小企業を対象として、個人型年金に加入する従業員の掛金の拠出に追加して事業主拠出を可能とする制度のことです。

個人型

1.加入対象者

次のいずれかに該当する者が、加入対象者となります。

  • 日本国内に居住している20歳以上60歳未満の国民年金の第1号被保険者
  • 60歳未満の厚生年金保険の被保険者(国民年金の第2号被保険者)。働いている企業で、企業型確定拠出年金に加入されている人は、原則、加入することができません。
  • 国民年金の第3号被保険者
  • 企業年金に加入している方等

※60歳以上の人・国民年金の保険料を免除されている人・農業者年金の被保険者の人等は、原則、加入対象者に該当しません。

2.掛金の拠出

加入者個人が拠出していきます。

※個人型確定拠出年金の第2号加入者(国民年金の第2号被保険者)は、原則として、その者に支払われる給与からの天引きにより事業主経由で掛金を納付することができます。この場合、掛金については、原則として、事業主による年末調整の対象となります。

3.掛金の拠出限度額

  • 国民年金の第1号被保険者の場合、国民年金基金の掛金または国民年金の付加保険料と合わせて68,000円(月額)となっています。
  • 企業型確定拠出年金制度及び他の企業年金もない企業の従業員(国民年金の第2号被保険者)の場合や国民年金の第3号被保険者の場合、23,000円(月額)となっています。

※2018年1月から、年単位が導入されます。

【参考】

上記で記載しているとおり、通算加入者等期間が10年以上であれば、60歳が請求可能年齢となりますが、通算加入者等期間が10年に満たない場合は、その加入期間に応じて、支給開始年齢が引き伸ばされます。

引き伸ばされるとは?

通算加入者等期間が8年以上の場合→老齢給付金の請求可能年齢は61歳です。

通算加入者等期間が6年以上の場合→老齢給付金の請求可能年齢は62歳です。

通算加入者等期間が4年以上の場合→老齢給付金の請求可能年齢は63歳です。

通算加入者等期間が2年以上の場合→老齢給付金の請求可能年齢は64歳です。

通算加入者等期間が1ヵ月以上の場合→老齢給付金の請求可能年齢は65歳です。

5.税金

  • 加入者個人が負担する掛金については、全額小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
  • 老齢給付(一時金)については、退職所得に該当することになり、退職所得控除の対象となります。
  • 老齢給付(年金)については、雑所得に該当することになり、公的年金等控除の対象となります。
  • 障害給付金は、非課税となります。
  • 死亡一時金は、相続税の対象となります。
  • 脱退一時金は、一時所得に該当します。
  • 運用期間中に発生する利息や収益分配金等の運用収益は、非課税(年金の給付時まで課税が繰延べられます。)となります。

企業型

1.加入対象者

確定拠出年金制度を実施する企業の60歳(規約で65歳まで延長可能)未満の従業員(国民年金の第2号被保険者)が、対象となります。

3.掛金の拠出限度額

  • 確定給付型の年金がある場合、27,500円(月額)となります。
  • 確定給付型の年金がない場合、55,000円(月額)となります

4.給付等

  • 原則、60歳に到達した場合に老齢給付金を受給することができます。ただし、60歳の時点で加入者期間が10年に満たない場合は、その加入期間に応じて、支給開始年齢が引き伸ばされます。なお、遅くても70歳までに受給開始します。
  • 一定の要件を満たせば、転職・離職に際して年金資産を移動できます(ポータビリティ)。
  • 企業型年金の加入者が退職して国民年金の第3号被保険者となった場合、その者は、申出により、企業型年金の個人別管理資産を国民年金基金連合会に移換し、個人型年金の運用指図者となることができます。

5.税金

  • 事業主が負担する掛金は、全額損金に算入されます。なお、加入者が負担する掛金は、全額小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
  • 老齢給付(一時金)については、退職所得に該当することになり、退職所得控除の対象となります。
  • 老齢給付(年金)については、雑所得に該当することになり、公的年金等控除の対象となります。
  • 障害給付金は、非課税となります。
  • 死亡一時金は、相続税の対象となります。
  • 脱退一時金は、一時所得に該当します。
  • 運用期間中に発生する利息や収益分配金等の運用収益は、非課税(年金の給付時まで課税が繰延べられます。)です。

 

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