遺言・遺留分・遺贈・成年後見制度について見ていきます。
この分野は、本試験で出題される可能性が高いので、じっくりとこのテキストをマスターしてください。
遺言
例えば、Aは、自分が死亡した後、内縁の妻であるBに少しの財産を与えたいと思った場合、遺言をしておく必要があります。なぜなら、遺言がない場合、相続人ではないBは、Aの財産をもらうことができません。遺言は、遺言者が死亡した時から効力が生じることになります。
ただし、遺言に停止条件が付されていて、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時から効力が生じます。
民法の規定では、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いをもってしなければ、これを開封することができません。
遺言の能力
15歳になった者は、遺言をすることができ、未成年者であっても遺言をすることができます。
被保佐人、被補助人については、保佐人や補助人の同意を得ることなく遺言をすることができます。
ただし、成年被後見人については、事理を弁識する能力が一時的に回復し、かつ、医師2人以上の立会いのもとでしか遺言をすることができません。
遺言の方式
遺言は、法律で定められている方式に従ってする必要があり、方式に従わない場合には、遺言の効力が生じません。
遺言は、1人が1つの証書によりする必要があり、夫婦であっても、その2人が1つの証書で遺言をしても、遺言の効力は生じません。
遺言の方式として、普通方式と特別方式があり、普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。
- 自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言をしようとする者が、遺言の全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押す必要があります。
証人は不要で、家庭裁判所の検認が必要です。
検認手続とは、家庭裁判所が、相続人の立会いのもと遺言書を開封し、内容等を確認させることです。
自筆証書による遺言書を発見し、家庭裁判所の検認を受ける前に開封した場合、その遺言書は無効となりません。
※2020年7月施行となりますが、自筆証書遺言を法務局で保管することができます。 - 公正証書遺言
公正証書遺言は、遺言をしようとする者が、証人2人以上の立会いのもと、公証人に遺言内容を口頭で述べ、公証人が作成していくものです。
なお、家庭裁判所の検認は不要です。
未成年者、推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族などは、証人になることができません。 - 秘密証書遺言
秘密証書遺言は、封印した遺言書を公証人、証人2人以上の前で提出し、遺言の内容を秘密にしておくものです。なお、家庭裁判所の検認が必要です。
未成年者、推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族などは、証人になることができません。
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