相続の承認・放棄テキスト

相続の承認・放棄について見ていきます。

この分野は、本試験で出題される可能性が高いので、じっくりとこのテキストをマスターしてください。

このページに掲載している2級追加論点とは、2級を目指す方だけが学習してください。ですので、3級を目指す方は、学習する必要はありません。

~注意~

無料版のテキストは、一部の論点及び解説を省略しています。

ですので、教材購入者の皆さんは、必ず、教材購入者専用ページ内にありますテキスト完成版をご利用ください。

相続とは

相続とは、ある人(被相続人といいます。)が死亡して、被相続人の権利義務を特定の者(相続人)に引き継がせることです。相続は、被相続人の死亡によって開始されることになります。

複数人の者が、死亡したが、どちらが先に死亡したかが判明しない場合には、同時に死亡したものと推定されることになります。

相続の承認・放棄

ある人が死亡した場合、相続人は、被相続人の遺産を承継するのか、承継しないのかを決める必要があります。被相続人の遺産を承継する場合には、単純承認か限定承認をする必要があり、被相続人の遺産を承継しない場合には、相続放棄をする必要があります。

単純承認とは

相続人が、被相続人の権利義務を無制限に承継することを単純承認といいます。「被相続人の権利義務を無制限に承継する」とは、被相続人のプラス財産(現金預金等)に加え、マイナス財産(借金等)についても承継します。

限定承認とは

相続人が、被相続人のプラス財産の範囲内で、マイナス財産も承継することを限定承認といいます。

例えば、相続人が、被相続人には、貯金や土地などのプラス財産があるのはいいが、借金などのマイナス財産もたくさんあるだろうと思った場合、単純承認をしてしまったら、万が一、借金の額が3億円で、貯金と土地の価値を合わせて5,000万円だったとしたら、相続人は、2億5,000万円については、返済する必要が生じてきます。

このような相続人のために、限定承認が有効になってきます。限定承認をすると、5,000万円のプラス財産の範囲内で、マイナス財産を引き継ぐ、つまり、5,000万円の借金しか引き継がないので、相続人は、返済する必要はありません。

また、被相続人の財産が、プラス財産5,000万円で、マイナス財産3,000万円だった場合には、差額の2,000万円を、相続人が承継することができます。

相続放棄とは

相続人が、被相続人の権利義務を一切承継しないことを相続放棄といいます。

相続の承認・放棄の方法等

  • 相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に単純承認、限定承認、相続放棄をする必要があります。

【補足:ここも覚える】

  1. 3ヵ月という期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができます
  2. 相続人が未成年者や成年被後見人である場合、これらの者の法定代理人が、未成年者、成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に承認、放棄をする必要があります。
  1. 共同相続(相続人が複数人いる場合の相続)の場合、限定承認をするには、共同相続人の全員が共同で行う必要があります。なお、相続放棄をした者は、相続人ではないとみなされるので、共同相続人の全員から除かれます。
  2. 限定承認をするには、その旨を家庭裁判所に申述する必要があります。

【補足:ここも覚える】

  1. 相続放棄は、あらかじめ、相続の開始前にすることができません
  2. 相続放棄をした者は、始めから相続人でなかったものとみなされます。
  3. 相続放棄をした者は、その放棄により相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続する必要があります。
  4. ある1人の相続人が相続放棄をした場合、その者の相続分は他の相続人のものになります。

単純承認

相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に限定承認、相続放棄をすることなく、3ヵ月が経過した場合、単純承認したものとみなされます

【補足:ここも覚える】←2級追加論点

  1. 限定承認や相続放棄をする前に、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、相続人は、単純承認したものとみなされます。ただし、保存行為(例えば、不法占有者に対する明渡し請求等)については、「処分」には該当しないため、単純承認したものとみなされません。
  2. 相続人が、限定承認又は相続放棄をした後に、相続財産の全部もしくは一部を隠匿したり、ひそかに消費したり、悪意で財産目録に記載しなかったりした場合、単純承認したものとみなされます。ただし、相続人が相続放棄をすることにより、新たに相続人となった者が相続の承認をした後に、このような行為を行ったとしても、単純承認したものとみなされません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加