損害保険商品テキスト

FP2級・3級試験教材

損害保険商品の種類と内容について見ていきます。

この分野は、本試験で出題される可能性が高いので、じっくりとこのテキストをマスターしてください。

損害保険の基礎用語

  • 保険価額とは、保険事故が発生した場合に被保険者が被る可能性のある損害の最高見積額のことです。
  • 保険期間とは、保険契約においては保険会社が責任を負う期間のことです。
  • 保険金とは、保険事故により損害が生じた場合に、保険会社が支払う金銭のことです。
  • 保険金額とは、保険事故が発生した場合に、保険会社が支払う保険金の限度額(契約で設定します。)のことです。
  • 免責とは、損害が発生したとしても、保険金が払われない保険契約上の事由のことです。

損害保険料の仕組み

損害保険料は、大数の法則、収支相等の原則、給付・反対給付均等の原則(レクシスの原則)に基づいて算出され、利得禁止の原則の考え方によります。

1.給付・反対給付均等の原則(レクシスの原則)

給付・反対給付均等の原則(レクシスの原則)とは、「保険金に保険事故の発生率を乗じた値と保険料が等しくなる。」という原則のことです。事故発生確率が高いほど保険料は高くなります。

2.利得禁止の原則

利得禁止の原則とは、「被保険者は保険によって利得を得てはならない。」という原則のことです。

火災保険

火災保険とは

火災保険とは、建物や家財などのさまざまなリスクに対して損害を補償する保険のことです。

【補足:ここも覚える】

  • 失火責任法によれば、失火により隣家を延焼させた場合、失火が重大な過失(例えば、寝タバコで火災が発生など)に該当しない限り、損害賠償責任を負うことはありません。
    しかし、借家人が借家を焼失させた場合、軽過失であっても、家主に対して、債務不履行による損害賠償責任を負うことになります。(民法&判例)
  • 火災保険だけでは地震・噴火・津波による損害は補償されません。地震等による損害を補償するためには、火災保険に地震保険を付帯して、加入していく必要があります。
  • 専用住宅を対象とする火災保険の保険料を決定する要素の一つである建物の構造級別には、「M構造(コンクリート造の共同住宅等)」「T構造(コンクリート造の共同住宅以外のもの等)」「H構造(木造建物等で(準)耐火建築物に該当しないもの等)」の3種類の区分があります。保険料は、H構造が最も高く、M構造が最も安くなります。
  • 火災保険には、保険期間満了時に満期返戻金が支払われる積立型保険もあります。
  • 契約者の重過失による火災の場合には、火災保険金は支払われないことになります。

火災保険の種類

1.住宅火災保険

  • 対象となるもの
    住宅・家財です。
  • 特徴
    火災、落雷、破裂、爆発、風、ひょう、雪災による損害については、補償対象となります。盗難、給排水設備の事故による水漏れ、水災、地震、津波、噴火などによる損害については、補償対象外となります。

2.住宅総合保険

  • 対象となるもの
    住宅・家財です。
  • 特徴
    住宅火災保険で補償される損害のほか、盗難、給排水設備の事故による水漏れ、水災、建物外部からの物体の落下・衝突・飛来、騒じょうなどによる損害についても、補償対象となります。

3.団地保険

  • 対象となるもの
    団地・マンションです。
  • 特徴
    住宅総合保険とほぼ同じ補償となります。なお、賠償責任補償や修理費用などの特約が付加されています。

4.長期総合保険

  • 対象となるもの
    住宅・家財です。
  • 特徴
    積立型保険で、一定の場合には、保険期間満了時に満期返戻金が支払われます。保険期間は、3年、5年、10年の3種類があります。なお、住宅総合保険とほぼ同じ補償となります。

5.普通火災保険

  • 対象となるもの
    店舗・工場などです。
  • 特徴
    住宅火災保険とほぼ同じ補償となります。

6.店舗総合保険

  • 対象となるもの
    店舗・事務所等に使用されている建物やこれらの建物に収容されている什器・備品等です。
  • 特徴
    住宅総合保険とほぼ同じ補償となります。

【補足:ここも覚える】

  • 隣家の火災により、自宅にも延焼し建物が損傷した場合、補償対象となります。
  • 隣家の火災による消防活動で自宅建物が損傷した場合、補償対象となります。
  • 一般的な火災保険は、火災により現金が燃えた場合、現金は補償対象外となります。(保険会社によっては、現金が盗難された場合、現金は補償対象となります。)

火災保険の保険金

火災保険は、「建物」と「家財」について、それぞれ別々に契約していきます。

家財を契約するとき、1個または1組の価格が30万円超の高額な貴金属や美術品など(明記物件といいます。)については、保険会社に申し出ておかなければ、保険金が支払われない可能性があります

火災保険の保険金額を設定するには、「再調達価額(新価)」をもとに設定する方法と、「時価額」をもとに設定する方法があり、火災保険を契約する際、この2種類のうち、どちらかに決めていきます。

【補足:ここも覚える】

  • 再調達価額(新価)とは、保険の対象となる建物・家財と同等の物を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額のことです。
  • 時価額とは、再調達価額(新価)から「経過年数による価値の減少と使用による消耗分」を差し引いた金額のことです。

保険価額(再調達価額または時価)よりも保険金額を少なく設定した契約のことを「一部保険」といいます。

保険価額(再調達価額または時価)を超える保険金額を設定した契約のことを「超過保険」といいます。超過保険の場合、実際に被った損害額が支払われますが、保険価額を超過した部分については、保険金が支払われません。

【一部保険の保険金額(時価で契約した場合)】

  • 保険金額が保険価額の80%以上である場合、保険金額を限度に、実際に被った損害額が支払われます。これを実損てん補といいます。
  • 保険金額が保険価額の80%未満である場合、以下の算式より計算した金額が支払われます。これを比例てん補といいます。
    実際の損害額×保険金額/保険価額の80%=損害保険金

この続きは、

教材購入者専用ページにありますテキスト完成版でご確認ください。

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